MOO(エム・オー・オー : Molar Oriented Orthodontics)テクニックとは「奥歯に基づく矯正治療」という意味です。奥歯を中心に考え、安定した噛み合わせと調和の取れた美しさに歯列を整えることを目的としています。
MOOテクニックは、まず筋肉とのバランスを取りながら奥歯を立て直します。その結果、幅の広いアーチとスペースを確保することができ、歯を抜く必要がなくなるケースが増えます。
またMOOテクニックにより、整った歯並びだけでなく安定したバランスのよい噛み合わせが得られます。さらに、奥歯と筋肉のバランスが整うため魅力的な笑顔につながり、機能的にも審美的にも良好な結果が期待できます。
【MOOテクニックのポイント1】奥歯が重要
●奥歯に注目する矯正治療です
一般に、矯正治療では、前歯などの見えやすい歯並びが注目されます。しかし、前歯を中心に考えて矯正をしていくと、足りないスペースを補うために抜歯が多くなります。
一方奥歯に注目すると、奥歯は前や内側に倒れ込んでいるケースが多く、その結果、ほかの歯に影響を与え、前の歯が飛び出したりデコボコになったり、さまざまな問題が生じることがあります。
抜歯して矯正治療を行って前方の歯並びを整えても、奥歯が倒れたままでは長期的に見て安定性に不安が残ります。MOOテクニックでは、奥歯を立て直すことから幅の広いアーチとスペースを確保して、歯列全体を整えていくことができるのです。
【MOOテクニックのポイント2】安定した噛み合わせ
●噛み合わせなどの機能的な問題も改善し、患者さんの健康を守ります
矯正は、歯並びを整え、見た目をよくするだけの治療ではありません。当院では、上下のあごの骨と噛み合わせの状態、頭蓋骨と顔全体のバランスなど、総合的な症状の分析を行い、噛み合わせなどの機能的な問題を改善することにも力を入れています。
ボストン大学のDr.N.Cetlinは、MOOベースの治療法で、傑出した長期安定性を示すことを明示しました。
Cetlin NM, Spena R, Vanarsdall RL Jr.
Nonextraction Treatment. In,Orthodontics: Current Principles and
Techniques. Edited by Graber TM,Vanarsdall RL Jr. Third ed. 2000. 749-777.
上下の歯が正常に噛み合い、噛み合わせたときにあごの関節の位置や動きが安定している状態を目指します。
●噛み合わせは、歯と身体の健康に関わります
噛み合わせが悪いと、ものを噛んだときの力のかかり方が不均等になるため、一部分の歯だけに大きな負担がかかることもあります。その結果、その歯がもろくなり、むし歯や歯周病にかかるリスクも高まります。
また噛み砕く力(咀しゃく力)が落ちて消化器官に余計な負担がかかったり、あごの発育に好ましくない影響を与えたりすることもあります。将来にわたって歯と身体の健康を維持するためにも、矯正歯科治療はとても役立つのです。
【MOOテクニックのポイント3】素晴らしいスマイル
●筋肉とのバランスを整え、きれいなスマイルを目指します
歯列や噛み合わせなどを矯正することによって奥歯と筋肉のバランスが整うため、顔全体のバランスもよくなり、魅力的な笑顔につながります。
出っ歯で口元が突出していたり受け口で下唇が突き出ていたりしている場合も、矯正治療により改善し、横顔のラインがバランスよく整います。
【MOOテクニックのポイント4】非抜歯志向
●何が何でも歯を抜かないということではありません
生まれもった歯を大切にしたいという想い、また奥歯を中心に考える矯正の特性により、結果的に非抜歯での矯正治療結果が高くなる傾向にあります。
しかし、場合によっては抜歯をせざるを得ないこともあります。そのような場合は、最初に奥歯の立て直しと噛み合わせの確立を行ったあと、患者さんとご相談の上で、一人ひとりにあった結果が得られるように、歯を抜くか抜かないかの診断をします。